初めて「ファンが逝ってしまうかもしれない」と思った。これまでも何度か嘔吐や血便があったが、そんな風に現実的に感じたのはこれが初めて。「大丈夫だよ」とファンに話しかけながら、自分にも同じように言い聞かせた。
急いで皮下点滴の準備をし、180cc注入した。点滴の間、ファンは目を開けたまま瞬きもせず、目の前で指を振っても全く反応しない。小刻みで荒い息をしながら、私の腕の中で失禁した。
点滴後、一時間ほどファンを抱きしめて温めると、徐々に呼吸が穏やかになり、目に力が戻ってきた。瞬きも始まり、眠そうに瞼を閉じて寝息を立て始めた。
病院での仕事中、ファンと同じ腎不全末期の猫が危篤状態で運ばれてくるのを何度も見た。多くの場合、尽くせる手はそう残っていない。栄養剤や利尿剤を添加した点滴くらいだ。私は以前から、ファンが危篤になったら自宅で看ようと決めていた。たとえ2‐3日長く生きられたとしても、最期は病院のケージのステンレスの床の上より、私の腕の中で、私の声を聞かせながらお別れしたい。
今回は持ち直したファン。残りの時間を大事にしよう。あらためてそう思った。できるだけ一緒にいようね。お母さんはいつもファンのそばにいるよ。
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